嘉屋翔太:音楽家として歩む未来
あらゆるディテールを味わい、文化の良さ、その価値がわかる人間になる…そして最終的に、その文化の一部になることができればと願っています。 「演奏」というのは、何が人に影響を及ぼすのか、どう人生を豊かにするのか、と考えたときの一つの表現方法だと思います。音楽家でなければどのような職業になっていたか、という質問に「政治家になりたい」と答えたことがあります。人に良い影響を及ぼすためには、自分の中にある哲学に基づいて表現する必要があると思いますが、その表現方法は政治でも音楽でも、要はスピーチでも演奏でも変わらないと思っています。 耳当たりの良い曲を聴いて、「あの人の演奏好きだった」と思ってもらえるのはもちろん嬉しいことです。しかしながらピアニストとしての究極の目標は、その背景にある音楽そのものが人生を豊かにするものだった、と記憶される表現に達すること…すなわち「その曲の何が良いのか」を伝え、共有することなのです。 だからこそ、「ピアニスト」で終わってはいけないと考えています。「弾き手」であるだけでなく「作り手」としての視点を持つ…総合的な「音楽家」になってこそ、この目標が達成されるはずだと信じて、日々の探究を続けています。
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